over the rainbow

いわゆる日記です

国立国会図書館の納本制度

提出されている同人誌

と書いてあるが、提出とは納本なのか寄贈なのかが判然としない。

まずは納本があるかどうかを考えてみよう。
納本制度国立国会図書館法に根拠があり、

第二十五条 前二条に規定する者以外の者は、第二十四条第一項に規定する出版物を発行したときは、前二条の規定に該当する場合を除いて、文化財の蓄積及びその利用に資するため、発行の日から三十日以内に、最良版の完全なもの一部を国立国会図書館に納入しなければならない。但し、発行者がその出版物を国立国会図書館に寄贈若しくは遺贈したとき、又は館長が特別の事由があると認めたときは、この限りでない。

となっているので、同人誌も納本対象であることがわかる。
かつ、

第二十五条の二 発行者が正当の理由がなくて前条第一項の規定による出版物の納入をしなかつたときは、その出版物の小売価額(小売価額のないときはこれに相当する金額)の五倍に相当する金額以下の過料に処する。
② 発行者が法人であるときは、前項の過料は、その代表者に対し科する。

ということで、納本しないと過料に処せられる。可能性がある*1
が、実は確か実際に過料に処された者はいなかったと思う。

さて、同人誌も納本対象だとわかったところで、今回のデジタルコレクションだけど、当然デジタル化(小冊子からスキャンニング)されていないとダメだし、製作者(個人の場合)が死亡してから70年経っていないものは著作権が切れていないので館内限定。
その中でも、絶版等の理由で入手が困難であることが確認されたものであれば個人送信の対象である可能性がある。というだけなので、実際は対象に入っているかどうかは難しいところかな。

同人誌って分類上の区分けはないので、なにか思い当たる同人誌がある人は国立国会図書館オンライン(まずはデジタルコレクションではなく、冊子体も含めるため)で検索してみてください。


この中に同人誌が含まれていないという証拠はない。(いや、可能性はかなり低いとは思うけど。もちろん)

まぁ、デジタルコレクションの中になくても、小冊子として納本されていれば、国立国会図書館へ出向いて閲覧は可能なので、気になる人はやってみてください。予約してからね。

と、ここまで書いてみて納本された同人誌があるかどうかが気になってきた。



ネットを検索してみたら、
自分のつくった同人誌が知らないうちに国会図書館にあった件 - ふんどしくわえたやまいぬ・新館
こんな話があった。
納本はしなかったが、第三者が寄贈したという話。

いずれ、該当同人誌もデジタル化されて、デジタルコレクション個人送信の対象となる日も来るかもしれない。


さらに、同じようなことを考えている人は当然たくさんいて、
同人誌を、国立国会図書館に「納本」してみた話|YU-U|note
納本してみた人や、

国会図書館に同人誌を寄贈したら著者に訴えると言われた話 - Togetter
三者の寄贈について苦情を言う人がいて興味深い。
ちなみに「アウターガンダム」はデジタル化されていますが館内限定です。
しかし、図書館への寄贈を営業妨害と言ったり、著作権の消尽もご存じなかったり、物言いがむちゃくちゃですね。
そもそも納本対象なので、納本していない時点で違法行為です。

その他にも事例は山ほど出てきてキリがないので、あといくつかだけ。
国会図書館に同人誌を納本してきてみた。 – 藤村阿智の日記 ひぐらし BlackStrawberry_net
非常にわかりやすくて良い記事です。

国会図書館に同人誌を納本し、納入出版物代償金を受け取った
納本制度って無料で納本しろと言ってるわけではなく、定価の半分がもらえるんだけど、その例。
ちなみに、その制度を利用して詐欺をやろうとした者もいる。
参考:
りすの書房 - Wikipedia

作った同人誌を国立国会図書館に納本してみた本 - 陶酔ビブリオテークBOOTHカウンター - BOOTH
これはおもしろい。実際に、NDLオンラインで「作った同人誌を国立国会図書館に納本してみた本」と検索してみてください。
ヒットします。

*1:正確に言うと「科する」であって「できる」規程ではないので、やらなければならないんだけど